意識の声 No.1 より

1990年8月号

 

 去る七月二四日、私は所用あって都内西新宿のボストンクラブ事務所へ秋山眞人氏を訪ねました。約束の一時に九階の受付へ行き、すぐに応接室へ通されてまもなく、氏が出てきました。しばらくぶりの再会でしたが、元気そうで、しかもどういうわけかダブルのよそ行きの背広を着込んで、リュウとした格好です。しかし気にとめずに私は早速用件を切り出しました。

 

 これはかねてからお願いしてあった難病の人達に対する透視と治癒のための遠隔思念、それにUFOと思われる物体を撮影した写真類の鑑定です。

 

 氏は超多忙にもかかわらず私宛に来ていた六名のGAP会員からの書簡と写真に目を通した上、一人ずつ明快な回答を与えましたが、特に茨城県のK氏の病状に関して次のように語りました。

 

 「これは遠い過去世からのかなり強いカルマによるもので、たぶんご本人の信念だけでは治らないかもしれません。来週のあたまから三日間、遠隔思念を続けてみましょう。  
 その結果を一応見ることにして、そのあとにまた対策を練ることにします」

 

 その他もろもろの秘話などが出て、約四〇分間話し合ったあと、辞去しようとしますと、「これからどちらへ?」と聞かれるものですから、「私は新宿駅へ出ます」と答えたら、「それなら私も出かけますから、車で駅までお見送りしましょう」と言われます。

 

 それから外ヘー緒に出て、隣のヒルトンホテルのタクシー乗り場から車で出発したのですが、服装は相変わらずダブルの服のままです。「今日は何か会合があるのですか」と聞きましたら、「いいえ、テレビ朝日の番組のビデオ撮りがあるので、それに出演するのです」と氏は言います。

 

 「おや、また超能力の番組ですか?」と少し驚いて聞きますと、「この頃、超能力者による大地震の予言が流れているので、それに対する説明などをするつもりです」と氏はこともなげに答えます。

 

 俄然、興味がわいた私は、こうした予言がすべてデタラメであることや、マスコミの興味本位な取り上げ方の問題などを少し話しましたところ、氏も私の意見に同調し、現在、日本の国民の精神の状態が安定しており、不安や恐怖などの想念を放っていないので、東京大地震が発生することはあり得ないということでした。

 

 新宿駅までの短時間でしたが、この一連の会話はかなり意義のある要素を帯びた内容でした。

 

 このテレビ朝日の番組は七月二七日の正午から一時間、『不思議一一〇番』と題して放映されましたから、ご覧になった方もあるでしょう。超能力を信ずる人や信じない人など五〜六名が画面で討論していましたが、しまいに秋山氏が三種類の実演を行なって素晴らしい結果を出しましたら、『超能力を信じない』という人が唖然として黙りこんでしまいましたね。これは愉快な光景でした。

 

 その実演というのは次のとおりです。まずトランプのカードを司会者の女性が出して、その中からターゲットとして一枚を抜き出します。それを秋山氏に見せてからカードの束の中に混ぜて切ります。次にそれを伏せたままでテーブルの上に散布します。そこで秋山氏はそのターゲットカードを透視して抜き出すというものですが、このとき氏は、いきなりターゲットを抜き出すよりも、違うカードを次々にひっくり返して、最後にターゲットを残す方が楽だと説明して、そのとおりに行ない、最後にひっくり返したのが間違いなくターゲットカードであったという実演です。

 

 二番目には、同じ形の小さな白い箱が約二〇個あり、そのなかの一個に司会者が金属板を入れるのですが、その間、秋山氏は反対側を向いて、どの箱に入れられたかは分からないように仕向けられます。そして司会者が各箱を混ぜこぜにしてから、秋山氏は正面に向き直って問題の箱を当てるのですが、今度は一発でその箱をつまみ上げます。司会者がフタをあけると金属板が入っています。

 

 以上までの実験なら、まだ疑惑の余地があると言う人かおるかもしれませんが、三番目のテストは凄いものです。水の入ったガラスコップを左右に二個置き、両方のコップの中に小さな魚が数匹ずつ入っています。魚の種類は分かりません。どちらのグラスの魚も全く同じ種類のものだそうです。

 

 そこで、秋山氏が念力によって、片方(視聴者側からは向かって右)のグラスの魚達を活性化させ(活発に動かせる)、もう一方のグラスの魚達を沈静化させる(おとなしくさせる)という実験をやろうというわけです。

 

 約一五分間、思念を続けた氏は「もうこれが限界だ!」叫びます。体力を消耗したのでしょう。しかし奇跡は発生しました。確かに右側のコップの魚達は元気よく水中を泳ぎ回っているのに、左のグラスの魚達は底に集まってジッとしているのです!

 

 これなどは全く疑惑の余地のないもので、パネリストの不信論者はギャフンとなったのか、何も言わずに呆然と立っています。

 

 どうしてこのようなことがやれるのか、という司会者の問いに答えて、秋山氏は「片方の魚達が元気よく動き回っているイメージを心中に描き、もう一方の魚達は底でジッとしているイメージを描くのだ」と説明します。

 

 イメージの力! それは神秘的な魔力を帯びています。魚達でさえも思念者の想念に従うのですから、まして肉体の微少な細胞群をイメージによって自由に操る事は当然可能な筈です。肉体に奇跡を発生させる力は万人の内部にアープリオリに(先天的に)潜在しているのです。

 

 しかし地球人はこの原理を知りません。大抵の人が肉体を単なる物質とみて、故障が起これば医薬の助けが必要だと考えており、機械的な外部作用によってのみ変化するものだと思い込んでいます。

 

 秋山氏の超能力実験は人間に偉大な知識を与えるものですが、あの番組を見て、何人の人がイメージの力を真剣に考えたか―――私は真夏の碧空を仰ぎながら黙考したのでした。ここには明らかに意識(神)からの声に従った一人の預言者の言動があり、それがテレビジョンという媒体に伝えられるオケイジョン(機会)が存在したのですけれども、殆どの人がこの意義を看過したと思われます。

 

 このテレビ番組によって私か感じたのは、人間の生き方として『宇宙への道』から逸脱することなしに正道を歩み続ける人と、そうでなくて全くのマインドによる盲目の人生を歩む人の二通りがあるということです。前者はごく少数であり、後者が大部分です。

 

 しかし、万人も内部に意識(神)を宿すからには、いつかこの番組の真の意味を知るようになるでしょう。今生で不可能ならば来世で知るでしょう。来世でも駄目ならば、次の世で―――。

 

 社会は確実に進歩しています。そしてサヴァイヴする(生き残る)ために人類は知恵を出し合っています。地球人のマインドの根底は意識と直結しているのであって、そのために真実なるもの、善なるもの、美しいものを求めています。この世界に失望や落胆の要素はありません。客観視すれば悲惨な面もありますが、万物と万人は根底から純粋なるもの、美しいものに憧れていると言えます。そのプラスの面を直視して共に前進しようではありませんか。道は無限に展開しています。

(以下、次号)