二つの本


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投稿者 松本 日時 2002 年 10 月 05 日 21:45:47:

回答先: Re: 科学技術と原子力 投稿者 海風の舞 日時 2002 年 10 月 05 日 08:29:27:

∇新宿の紀伊国屋書店で少し立ち読みを
してみましたが、二つほど比較できそうな
本がありましたので、紹介します。

原子力発電に関して、大雑把にみて、
賛成に偏った人と反対に偏った人を分けて
いるものには、個人の立場や回りにいる
人達からの影響あるいは過去に学んだこと
などがあると思います。

そうはいえ、原子力発電に関した基本的事実
については知識を共有しているのが、議論
する上での必要条件と思われます。
もちろん、専門的な知識は共有することが
困難ですので、ある程度の妥協は必要です。

そういう目で見た場合、基本的な事実の認識
が二つの異なる立場の人たちの間で異なる
ように思えます。
これでは、議論がかみ合わないことになると
思います。

というわけで、二つの異なる立場の人たちが
書いた本を比べて、なぜ基本的な事実の認識
が異なるのか考えてみると少しは、実態が見
えてくるような気がします。

1.「原子炉の暴走;SL-1からチェルノブイリ
まで,石川迪夫,1996年,日刊工業新聞社」

2.「原子力発電で本当に知りたい120の基礎
知識,広瀬隆,藤田祐幸,2000年,東京書籍」

この二つの本は「1」が東海研究所の副所長
を経験したいわゆる原子力を推進する立場の
人が書いた本です。
「2」はメーカーの技術者を経て医学書の翻訳
から執筆活動に入った人、および大学の物理の
教員で、反対する立場の人達です。

執筆の年代が異なるので、単純な比較はできま
せんが、一度やってみる価値はあると思います。

まずは、この二つの本の中から、一部を引用
してみますので参考にしてみて下さい。

「1」
[第1章 暴走の正体]
[1.2 核分裂とパチンコ]
今では、「夢のエネルギー」というように
とらえている人もいなくなり、社会には原子力
批判が正論であるかのような風潮があるが、
現実に原子力は日本の電気消費量の30パー
セントをまかなう主力エネルギー源にまで成長
している。
爆弾として災厄をもたらすかと思えば、エネル
ギー源として人々に恩恵をもたらす、この原子
力とは一体何者なのであろうか。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


[あとがき]
本書を書くことを考え始めたのは五年ほど前
のことである。チェルノブイリ事故の後遺症
ともいうべき、反原子力の運動が最も高まって
いた頃で、原子力発電所が具備している安全
対策に対して世の中に懸念が広まっていた時期
であった。

取るに足らぬゴシップ雑誌は捨ておくとして、
その当時は権威あると見なされている著名な
雑誌にも実しやかな安全批判や、間違いだらけ
の解説記事が堂々と掲載されていた。臆面も
なく単行本として出版されたものまである。
その多くは、私達原子力関係者の勉強修練の
場である日本原子力学会に顔を出したことも
ないし、もちろん論文を発表したこともない
人達によるものであった。

原子力学会員ではないからといって差別する
積りはさらさらない。だが、一般の人達には
およそ判断のつき難い高度な技術内容につい
て、学会での討論すら経たことのない人達が、
聞きかじった程度の半端な知識をもとに、
ニュースの一部をとらえて想像で作り上げた
サイエンスフィクションを現実の恐怖として
売り出すのであるから質が悪い。またそれに
飛びつく出版界、マスコミ界のモラルも低い。
少し念を入れて調査すればわかる事柄である。

今の世の中、科学技術を歪曲して伝えるほど
罪深い話はない。一昔前ならいざ知らず、
今日われわれの生きている社会は科学技術の
力に支えられて作り上げられている。その使
い方が悪いのは人間であって、科学技術に
あるのではない。そのことを忘れ、人々の
わかりにくい科学技術を歪曲して伝えること
は、例えてみれば、われわれの生活の場で
ある自然環境にゴミを捨て平然としている
のと同じといえる。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


「2」
[5.なぜ原発の発電量が多くなるか]
原発は巨大なシステムであり、原子炉の出力
や冷却水の温度や圧力などが全体として微妙
なバランスが崩れると大事故を起こす危険性
があるため、出力を需要に応じて自由に変動
させることができない。そこで原発は深夜
最小電力以下の電力の供給にしか使うこと
ができない。この深夜最小電力以下の電力を
「ベースロード電力」と呼ぶ。

昼夜を問わず消費し続けるベースロード電力
は原発が、昼間の変動する部分(ミドル
ロード電力)は主に火力発電が電力を供給し、
夏の鋭いピークロード部分は水力発電が電力
を供給している。
このような発電施設の運用の結果、原発は
昼夜を通してフル稼働をするため、稼働率が
80パーセントにまで達するのに対し、火力
は変動部分を調整して運転するため、稼働率
は40パーセント前後、ピーク電力に対応
する水力発電は年間を通して40パーセント
前後の稼働率にとどまっている。

このように発電設備を運用した結果が、
「日本の電力の三分の一が原子力」である
ことになるが、それはあくまで運用の方法に
よるものである。
原子力の電力をすべて火力でまかなおうと
すれば、火力の稼働率を70パーセント程度
上げれば事足りる。それでもまだ火力には
余力がある。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


[あとがき]
原発を止めても電力生産に何ら問題はなく、
むしろ原子力を国策から外すことでこそ、
新たな可能性が湧きあがってくるであろう
ことはすでに述べた。しかし、原発を止め
ても、この無制限な資源の浪費と絶えざる
成長経済を続けていけば、そこには資源枯渇
と環境破壊というふたつの巨大な破堤が待
ち受けている。

電力の三分の一は原子力で生み出されている
という。では電力消費量を三分の一だけ減ら
したらどの時代に戻ることになるか。それは
江戸時代でも戦前の時代でもなく、わずか
十年前の水準に戻ることにしかならない。
わずか十年間で原発五十二基分の浪費を積み
上げてきたのだ。どこまで欲望を満たせば気
が済むというのだろう。問われるべきなのは
この無謀な浪費構造である。

ヨーロッパでは、原子力からの撤退だけでは
なく、石油などの地下資源に依存する構造
自体を問いなおし、更新性資源に依存した
持続的社会の構築へと明確に進むべき道を
見定めている。



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