クオリア


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投稿者 松本 日時 2001 年 10 月 30 日 22:27:16:

回答先: 脳のコラム構造(補足) 投稿者 松本 日時 2001 年 10 月 28 日 10:59:22:

「脳とクオリア,茂木健一郎,1997年」
第4章”相互作用同時性の原理”より
1.私たちの心の中の時間
・「時間」とは何かという問題は、すべての
哲学的な問いの中でも最も深遠な問いの一つだ。
私たち人間は、いつかは死ななければならない。
人間の一生は、死に向かっての準備の過程である
といってもよい。「死」は、時間の流れとともに
森羅万象に訪れる避けられない変化の一つである。
「死」の謎が、時間の流れと切り離せないもので
あることは確かだ。
 例えば、私は、「死後の生」についての、よく
見られる安易な議論が理解できない。死んだ「後」
の生だって?その「後」というのは、どういう
意味なのだろう?私が生きている時に流れている
時間と、同じような時間が私が死んだ「後」にも
流れていて、その「後」の時間に私の「生命」が
あるという意味なのだろうか?あるいは、その
ような時間の流れとは無関係に、この宇宙とは
無関係に、「虚空のどこか」に、私の「死後の生」
があるという意味なのだろうか?「死後の生がある
にせよないにせよ、その議論を、「時間」について
の通常の理解を前提に行うのは、あまり私の興味
を引かない。いずれにせよ、「私」や、「生」や
「死」と、「時間」の間には、未解決の深い謎が
残されている(第9章「生と死と私」を参照)。

・私たちの「心」の中の時間が持つ性質がどの
ようなメカニズムで生じるのかということは、
脳と心の問題を考える上で最大の問題の一つだ。
例えば、私は、なぜ、過去は覚えているが、未来
は覚えていないのだろうか?未来は自分の自由
意志である程度自由に変えられるように思える
のに、なぜ、過去は変えられないように思われる
のだろうか?(第10章「私は自由なのか」を
参照)私の心の中で、「今」は、どれくらいの
長さを持っているのだろうか?時間が、「少し
前の過去」から、「現在」、「少し後の未来」へ
と、なめらかに継ぎ目なく流れるように思える
のはなぜだろうか・・・。

・私たちは、前章で、認識の要素が相互作用連結
なニューロンの発火から構成されるという「相互
作用描像」を議論する中で、「相互作用同時性」
の原理に到達した。記憶を新たにするためにその
内容をもう一度記せば、

≪相互作用同時性の原理=ある二つのニューロン
の発火が相互作用連結な時、相互作用の伝播の間、
固有時は経過しない。すなわち、相互作用連結な
ニューロンの発火は、(固有時τにおいて)同時で
ある。≫

というものであった。

・私は、この章で、まず、この原理がより一般的
な「因果性」という要請から導き出されることを
示す。そして、この原理は、第3章でニューラル・
ネットワークについて定式化されたものが、より
広く、一般的なシステムについて成立するための
原理であることを示す。続いて、相互作用同時性
の原理が、私たちの心の中の時間の流れ、すなわち、
心理的な「現在」がある程度の時間幅を持つことや、
時間が過去から未来に向かってスムーズに流れると
いった基本的な性質をいかに説明するかを見る。

・相互作用同時性の原理は、相対性理論との関連性
を持つ。とりわけ、相対性理論の公理的構成について、
新しい洞察をもたらす。さらに、相対論的な時空の
描像は、最終的なものだとは見なされず、特に量子
力学的な非局所性との関係で、いまだ暗闇に潜んだ
ままの未知の数学的構造があるだろうという見通し
を述べる。このことは、特に、意識が、非局所的な
計算のプロセスを持つように見えることと関連する
ので、重要である。

第9章”生と死と私”より
1.「私」が「私」であること
・「私」が「私」であることは、子供の時、非常に
不思議なことであった。「私」が「私」であることを
意識すると、急に息を吸ったり吐いたりすることが、
いたたまれなくなってくる。心臓がどきどきと鼓動
を打っているのが、不安になってくる。目を閉じる
と、何か白いもやもやとした綿のようなものがあって、
それが「私」なのかと思う。地球のどっしりとした
土の塊の上に「私」が載っていることが奇跡のように
思えてくる・・・。

・私たちは、誰でもこのような「私」が「私」で
あることについての根源的な不安を感じる。だが、
大抵の人は、大人になる過程で、そのような不安
を忘れてしまう。一部の、要領の悪い、忘れること
のできない大人が、脳を研究する科学者になったり
するわけである!

・ところで、私たちは、一人の人間の生きていく
過程について、次のような常識的理解を持っている。

・「私」は、一つの人格としてこの世に生まれ、様
々なことを学習し、記憶しながら成長していく。
その過程で、「私」はどんどん変わっていく。初め
てプールで顔を水につけた時、「私」の中の何かが
変わった。九九の計算ができるようになった時、
「私」の中の何かが変わった。恐る恐る愛を告白し
た時、「私」の中の何かが変わった。しかし、この
ような変化にもかかわらず、「私」は同じ「私」だ。
途中で、「私」が誰か他の人格を追い出してそこに
居座ったこともない。

・「私」は、「私」の人生のストーリーの、一貫し
た記憶を持っている。「私」の肉体を構成する原子
は、1ヶ月もすれば入れ替わってしまうだろう。
「私」の持つ知識や、嗜好、経験は、10年も生き
ればすっかり変化してしまう。だが、このような
変化にもかかわらず、「私」は同じ「私」だ。10
年前の「私」と、今日の「私」は同じ「私」だ。
「私」は、「私」が死ぬまで、「私」であり続ける
だろう。そして、「私」が死んでしまえば、「私」
はもうこの世に存在しない・・・。

・右の、一見当然に思えるような常識が、心と脳の
関係を考える上でどのような意味を持つか、以下で
検討していこう。私たちは、その過程で、「生」や
「死」が「私」にとってどのような意味を持つのか
を考え直すだろう。そして、驚くべきことに、右に
述べたような常識が、実はそれが正しいかどうか
さえ、怪しい、曖昧なものであることを見るだろう。

2.「私」を「私」にするもの

3.「私」の意識に寄与するのは、発火している
ニューロンのみである

4.「眠り」の前後で「私」は同じ「私」か?

5.「睡眠」の前後で、どうして同じ「私」だと
わかるのか?

6.「死」に関するパラドックス

7.「私」の「コピー」は「私」なのか?

8.「コピー人間」と視点
・大分議論が交錯してきたので、もう一度私たち
の議論の大前提を振り返ってみよう。私たちは、
≪ある瞬間における「私」の意識の内容は、私
の脳内においてその瞬間において発火している
ニューロンによって、またそれによってのみ
決定される。≫
と仮定し、そして
≪ニューロンは、意識の問題を考える際には、
それが発火している時のみ存在しているので
あって、それが発火していない時は、この世界
に存在していないのと同じである。≫
としたのであった。この二つの仮定を疑うこと
は、かなり難しい。
この二つの仮定を認めると、睡眠中の私の脳の
中のニューロンは、「私」の意識を生起させる
ほどには発火していないから、意識に関する限り、
存在しないことになってしまう。だから、睡眠
は、Aさんの死とαさんの再生の間の10億年
の空白と同じような空白であるということに
なって、右のような結論になってしまうのである。

9.生と死と私
・問題の本質を図式化すると、図9・3のよう
になる。要するに、睡眠前の「私」と睡眠後の
「私」の間にある空白とAさんとαさんの間に
ある空白がちょうど同型に見えるところに問題
があるのである。

・もちろん、睡眠前後の「私」の間の空白は、
たとえ発火していないにせよそこに私のニュー
ロンがあり、私の肉体もあるのだから、Aさん
とαさんの間の空白とは違うと主張することも
できる。だが、これはこれで大変問題だ。眠っ
ている間に、「私」の意識が存在しないことは
明らかだ。その間に、「私」の「心」が不在の
まま存在し続ける私の肉体に、どうしてその
ような特別な意義があるのか?もし何の理由も
なく、とにかく意味があるのだというのならば、
それは一種の神秘主義になってしまう。

・私は、睡眠前の「私」と睡眠後の「私」の間
にある空白とAさんとαさんの間にある空白は
本質的に同じであるという、保守的な結論に達
せざるを得ないのである。

・この章の結論を述べよう。私が死ぬ直前の
ニューロンの発火と似たパターンが再現される
可能性がゼロでない以上、また、「眠り」を
挟んで心が蘇ることを、私たちが「死ぬ」とは
呼ばない以上、私は、「私は原理的に決して死
ぬことはない」という結論に達しざるを得ない。
繰り返そう。
≪私は原理的には決して死ぬことはない。≫

・これが、以上の注意深い議論の末の結論で
ある。これは、確かに、驚くべき結論である。
しかし、どれほど驚くべき結論であろうとも、
その前提と、推論の過程を認めざるを得ない
以上、結論も認めざるを得ないだろう。

・読者は、私の真意が、むしろ背理法にある
ことを、理解してくださると思う。私は、人間
が不死であるということを主張したいのでは
ない。私は、「私は私である」という常識的
理解の背後に、お互いに整合的でない、いくつ
かの思い込みがあることを指摘したかったのだ。

・この章で得た結論をもし抜け出したいならば、
私たちは、そもそも人格とは何を意味するのか、
「私」とは何なのか、「私」の意識とは何なの
かを、もう一度原点にかえって考え直してみる
必要がある。ここには、明らかに、私たち人間
の存在に関わる、非常に重大な、そしていまだ
考え抜かれていない問題が存在する。




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