宇宙の意識との一体化法

久保田八郎

 

"宇宙の意識"との一体化の練習で海を見つめる訓練がよいと言われますが、最初想像、それから一体化という先生の説明がありますが、いかにすれば想像(能動的想念)が一体化(受動的想念)に変化できるのでしょうか。

 

 これこそ全く感覚的な問題です。フィーリングの問題であり、物理的に理論づけることは出来ない問題です。まず"想像"します。たとえば海を見つめます。海自体は目の前にありますから、これは想像しなくとも見えるわけで、その実在することを自分の目で確かめることは出来ます。そこで海の中に自分が裸になって入っていったところを想像します。

 

 これは海に入っていないんですから、現実の自分の姿ではありません。入っていないで浜の上の方か丘の方でたたずんで海を見つめながら、しかも自分が海水の中に入っていくのを想像するのです。想像しますと、当然その想像ということはひとつの原因ですから、原因のあるところには一つの結果がありますから、その結果として自分の体が非常に冷たい状態になってしまい、本当に体が冷えてくるような状態が起こってきます。これは必ずそうなります。そういうふうに想像することによって、その想念が自分の肉体に大きな影響を及ぼすという原理を応用して、自分の体が水の中に入っていく、今入って行く。そうしてこれは非常に冷たいんだという想念を起こしますと、その想念は必ず肉体に変化を起こし、実際にからだが冷たくなって、鳥肌が立つような状態になります。これは物理的な変化です。

 

 そうしますと、今度はその物理的な変化によって、自分が今、水と一体化しているのだという、強烈なフィーリングが、起こすまいと思っても起こってくるわけです。これもひとつの原因に対する結果です。必ずそのフィーリングが起こってきます。これを要するに「一体化」と言っているわけです。

 

 言葉の「一体化」というものを、あまり哲学的に難しく考えますと、またわからなくなってきますから、一体化ということは、自分の体が水の中に入ってしまったという状態の、そのフィーリングだというふうに軽く考えておかれてよろしいかと思います。あまり言葉のあやにとらわれて、難しく考えないことです。

 

 これは水に限らず、他人との一体化のフィーリングを起こす練習にも応用できます。ただし肉体的な一体化ではありません。例えば、他人とテレパシーの練習をするときに、相手の体の中に自分の体が重なって入ってしまったというような、ダブった状態を想像しますと、これが一種の一体化のフィーリングを起こすことになるんです。私がテレパシーの練習をするときはそうです。ある人に送信しようとしますと、その人物の体の中に自分の体が重なって入ってしまって、完全に二つの体がダブってしまったというような、一種の想像をするわけです。その想像はやはり想念を起こすことですから、その想像によって、原因が出来、その原因に対する結果として、本当に相手の体と自分の体がいっしょくたんになってしまったというフィーリングが起こるわけです。そうすると相手はこちらのテレパシーの想念を非常に強く感知することが出来るようになるということになります。

 

 あるいは受信する場合もそうです。逆に受信する場合でも誰かの想念をキャッチしようと思えば、相手と自分の体がもうダブってしまって、いっしょくたんになってしまったんだというフィーリングを起こすんです。これはたぶん、母親が小さな幼児を絶えず自分の体の回りにおいて、抱いたり、かわいがったりして母親が自分の幼い子供の気持ちを知らず知らずのうちによくキャッチしている、言い換えれば、知らず知らずのうちにテレパシーを応用しているというようなことでわかるわけです。

 

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